真空成形・圧空成形.com シート成形技術 FAQ
材質【その他】
紙ベークもしくは布ベークを加熱(198℃)した際に、中央部分が 膨らむケースがある理由は?
A
紙ベーク・布ベークの中央部が加熱時に膨らむのは、内部に閉じ込められた水分や揮発分が気化し、内圧が上昇する「フクレ(ブリスター)」が主な原因です。
紙ベーク・布ベーク(フェノール樹脂積層板)は、基材が紙やコットンクロスのため本質的に吸湿性が高い材料です。常温・常湿の環境に置いておくだけでも、重量比で1〜2%程度の水分を吸収します。
主因:吸湿水分の蒸気化
ここで198℃という温度が問題になります。内部に吸湿した水分があると、加熱によって一気に気化し、極めて高い内圧が発生します。
約1.5MPa
水の飽和蒸気圧は198℃で約1.5MPa(約15気圧)に達します。内部に水分が残っていれば、これだけの内圧が積層板の内部にかかります。
加熱時の断面イメージ ― なぜ「中央部」だけが膨らむのか
フクレ(膨れ)
↖水分が大気へ抜ける
▲ ▲ ▲蒸気が滞留し内圧が上昇
↗水分が大気へ抜ける
外周部は型の表面に近く拡散距離が短いため、水分が気化する前に大気へ抜けやすい。
中央部は外周まで届くのに時間がかかり、層構造が垂直方向の蒸気移動も妨げるため、抜ける前に気化して内圧が溜まる。
耐熱性の比較 ― 198℃は連続使用温度の限界域
紙ベーク
約120〜130℃
布ベーク
約130〜150℃
今回の使用温度
198℃
紙ベークの連続使用温度は概ね120〜130℃、布ベークでも130〜150℃程度です。198℃は短時間でも限界域で、樹脂自体の軟化・熱分解が始まる温度帯に入っています。
副次的な要因
残留揮発分
フェノール樹脂の硬化反応で残った未反応モノマーや低分子量成分、可塑剤などが、180℃を超えるあたりから気化を始めます。
層間剥離
基材と樹脂の熱膨張差、および上記の内圧によって、層と層の接着面が剥がれるデラミネーションが起こります。
温度オーバー
198℃は紙ベーク・布ベークいずれの連続使用温度も超えており、樹脂自体の軟化・熱分解が始まる温度帯に入っています。
<参考文献>
http://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/1962/04/1962_04_04.pdf



























